「病理診断」という言葉を聞き慣れない方も多いと思います。病気の診断は、問診や身体診察、各種の検査などを組み合わせて進められますが、いくつかの病気、特に腫瘍(しゅよう)の大部分では、診断の確定は病理診断に委ねられています。当科では、臨床検査技師と病理診断専門の医師が協力し、主に顕微鏡を使ってミクロの視点から病気の種類、悪性の度合い、進行度の判定などを含めた診断を行っています。近年では新しい治療薬が次々と開発されていますが、その薬の効果が見込めるかどうかを患者さんごとに判断するための材料として組織検査が行われることもあり、病理診断に対するニーズは年々高まっています。
当科は腫瘍に限らず全身の病気の診断に関わっていますので、ほぼ全ての診療科と連携しています。患者さんに直接お会いすることはほとんどありませんが、日々提供される医療の裏側にある病理診断の存在を知っていただけますと幸いです。
現在当科では、常勤医師1名と非常勤医師2名の合計3名で診療を行っています。概要で示したとおり、患者さんの体から取り出された組織や細胞を、光学顕微鏡での観察を中心とした様々な方法で診断することが主な業務です。顕微鏡で観察するためのプレパラートの作成には通常数日かかりますが、場合によっては特殊な方法を用いて十数分で標本を作成し、手術中に必要な情報を提供することもあります(術中迅速診断)。
このほか、大事な業務の一つに病理解剖があります。これは、不幸にして亡くなられた患者さんを解剖して全身を詳しく検査させていただき、体の中で起こっていたことを確認し治療の効果などを検証するものです。死因の究明とともに、将来の診療を適切に行うための参考となる情報を提供する非常に重要な仕事です。
実績(2022年4月1日~2023年3月31日) | |
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項目 | 件数 |
組織診 | 5,904件 |
術中迅速診 | 222件 |
細胞診 | 5,662件 |
病理解剖 | 6件 |
当科では検体数の増加に対応し、また常駐する若手医師へのサポート・指導体制を確保するため、神戸大学医学部附属病院病理診断科と緊密に連携しています。上級指導医による定期的な直接指導のほか、病理組織標本をデジタルデータ化してネットワーク上で共有することにより、診断困難例や稀少例であってもリアルタイムで大学の専門診断医に相談することができ、正確で迅速な診断を可能にしています。
『腎生検で得られた希少6腎疾患の臨床像と病理学的特徴の検討に関する研究』に対するご協力のお願い(令和5年3月6日承認)
氏名 | 補職名 | 卒年 | 資格等 |
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山本 侑毅 (やまもと ゆうき) |
医長兼診療科長 | 2014 |
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