北播磨総合医療センターでは開設当初から、がん治療を含めた先端医療の導入と実践に取り組んでいます。令和5年(2023年)4月よりがん治療に対する診療・連携・研修体制の整備・充実とその実績が認められ、国が指定する「がん診療拠点病院」となりました。
「がん診療拠点病院」とは、がん対策基本法に基づいて文字どおり、その地域でのがん治療の中心となり、かつ専門的治療の提供が可能な病院のことであり以下の3つの体制の整備がされています。
1.手術や化学療法、放射線治療、緩和ケア、セカンドオピニオンなど専門的な診療体制
2.当該医療圏での研修の実施体制
3. がん相談支援センター、がん登録などの情報の収集提供体制
大学病院など遠方に時間をかけて出向かなくても、この地域で質の高いがん治療を皆様に提供できるように専門的な診療体制をさらに充実させ、院内外の連携をより深めて当医療センターを発展させていきたいと考えております。
がん総合診療センターは直接、診療する部門ではありませんが、がん治療で当院を受診される患者様が専門的で質の高いがん治療を安心して受けらるように、以下の様にがん診療体制の連携と充実を図っています。
当医療センターは、2019年(平成31年)に兵庫県指定がん診療連携拠点病院の指定を受け、北播磨圏域をはじめとした医療機関から、多くのがん患者さんをご紹介いただき診療を行ってまいりました。このたび、専門的ながん医療の提供をはじめ、地域でのがん診療連携体制の整備など、指定要件をすべて満たしていることが評価され、国指定「地域がん診療連携拠点病院」に指定されました。
地域がん診療連携拠点病院は、質の高いがん医療が提供できるよう、国により指定されており、専門的ながん医療の提供、がん診療の地域連携協力体制の構築、がん患者さんやご家族に対する相談支援及びがんに関する情報提供等を行っています。
また、緩和ケア病棟、がん相談支援センターを設置し、医師、看護師、MSW、事務職等がチームとしてがん患者さんやご家族の方々の身体的・精神的苦痛を和らげられるよう努力しています。患者さんと医療従事者との信頼関係を最重要と考え、がん診療をはじめ専門的で高度な医療と、地域連携により地域完結型での切れ目の無い医療を提供できるよう努めてまいります。
令和元年11月1日より、近畿ブロック小児がん連携病院に指定されました。
近畿ブロック小児がん医療提供体制協議会から、当医療センターは類型(3)『小児がん患者等の長期の診療体制の強化のための連携病院』に指定されました。
類型(3)『小児がん患者等の長期の診療体制の強化のための連携病院』とは、地域で小児がん患者の晩期合併症や移行期医療に対応するために、長期フォローアップとともに、必要に応じた適切な医療を提供することが可能な医療機関とされています。
当医療センターには血液・がん関連の専門資格を有する小児科医が在籍し、小児科に血液外来を開設しています。また、小児がん拠点病院である兵庫県立こども病院と連携し、地域の小児がん患者のフォローアップを行うなど、小児がん診療機能の充実に努めています。
当医療センターには、入院中の患者さんを対象に、がんや重症の心不全によるつらい症状を和らげるお手伝いをする、緩和ケアチームがあります。緩和ケアチームには、緩和ケア医師、精神科医師、循環器内科医師、薬剤師、管理栄養士、がん看護専門看護師、がん性疼痛看護認定看護師、慢性心不全看護認定看護師がおり、主治医や病棟スタッフと共に、患者さんやご家族の苦痛を緩和するお手伝いをします。
身体やこころのつらさがあると、治療を続けることが難しくなります。身体やこころのつらさ、家族や仕事の心配、退院後の生活などについて、患者さんやご家族の希望をうかがいながら、その人らしく生活できるように、一緒に考え、お手伝いさせていただきます。
緩和ケアチームの紹介をご希望の方は、主治医もしくは看護師まで、ご相談ください。
当医療センターでは、「がん診療運営委員会」を設置、PDCAサイクルを用いて診療機能や診療実績について把握・評価し、課題を院内で共有した上で、がん診療の質・安全性の向上に取り組んでいます。
当医療センターでは、がん診療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修を定期的に実施しており、緩和ケアの推進に力を入れて取り組んでいます。
がんと診断された患者さんの基礎的なデータを病院として集積し、がん診療の実態を明らかにするしくみです。
当医療センターは厚生労働省から、がん診療連携拠点病院に指定されているため、院内がん登録の実施が義務づけられています。
院内がん登録は法律に基づき各施設において実施され、毎年、国立がん研究センターに氏名などの個人識別情報を削除した上で提出、全国の病院における診療件数などの集計が報告書として公表されています。
中 村 哲 先端医療センター長(低侵襲手術部門) 兼 外科・消化器外科・乳腺外科部長
杉 本 健 血液・腫瘍内科部長