概要
病気やケガによって身体や精神に障害が生じると、今までできていた日常生活が困難になります。このような状態の方に対して、身体的、精神的、社会・職業的に最も適した生活水準の達成を目指し、生き生きとした生活を実現するために行われる一連の働きかけを「リハビリテーション」といいます。
リハビリテーション室では、各診療科と連携しながら、リハビリテーション科医師の指示のもと、急性期医療に対応し、それぞれの状態に合わせて超急性期からリハビリテーションを実施しています。
基本理念
ひとりひとりに合わせた最良の急性期リハビリテーションを提供します
基本方針
1)安心・安全で、より質の高いリハビリテーションを提供します。
2)他部門と連携・協働しながら早期リハビリテーションに取り組み、信頼される部門を目指します。
3)地域の医療機関と連携を深め、シームレスなリハビリテーション医療を提供します。
4)専門職としての知識、技術向上のため、研鑽に努めます。
5)より安全でより効率的な業務を遂行するため、業務改善に努めます。
施設基準
脳血管疾患等リハビリテーション(Ⅰ)
廃用症候群リハビリテーション(Ⅰ)
運動器リハビリテーション(Ⅰ)
心大血管疾患リハビリテーション(Ⅰ)
呼吸器リハビリテーション(Ⅰ)
がん患者リハビリテーション
スタッフ
理学療法士12名、作業療法士5名、言語聴覚士2名
資格 : 3学会合同呼吸療法認定士 7名
心臓リハビリテーション指導士 7名
日本糖尿病療養指導士 2名
日本理学療法士協会認定理学療法士 脳卒中 3名 循環 2名 代謝 1名 スポーツ 1名
日本作業療法士協会認定作業療法士 1名
理学療法士
病気やケガによって身体に障害のある方に対して、寝返り、起き上がり、立ち上がり、歩くなどの日常生活を行う上で基本となる動作の改善を目指した訓練を行います。またがん患者や心臓や呼吸器などに病気を抱えた方に対して、その機能状態に応じた運動指導や動作訓練を行います。
作業療法士
病気やケガによって身体に障害のある方や心臓や呼吸器などに病気を抱えた方に対して、機能回復・維持を促す作業活動を用いた訓練や日常生活動作の評価・訓練を行います。また失認や失行といった高次脳機能障害に対してもアプローチを行います。
言語聴覚士
脳卒中や脳外傷によって生じた失語症、構音障害に対して評価を行い、それに基づいてコミュニケーションの改善を目指した訓練を行います。また、摂食・嚥下障害に対する評価、訓練も行います。
看護師
訓練室において、安全にリハビリテーションが行えるように支援します。また、体調不良や急変時には医師とともに対応します。当院では、主に心臓リハビリテーションが安全に行えるように、訓練中に対象者の状態観察を行うとともに、退院後の社会復帰や、再発予防に向けた指導を行っています。
対象疾患
下記のような方を対象にリハビリテーションを実施しています。当院での急性期治療が落ち着き、全身状態が安定した時点でご自宅への退院が困難な場合は、引き続き回復期リハビリテーション病棟などの機能をもつ医療機関へ転院の上、リハビリテーションを継続していただくことになります。
〇 脳血管疾患等リハビリテーション
脳卒中(脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血)やパーキンソン病などの変性疾患、またはギランバレー症候群などの末梢神経疾患の方が対象となります。
〇 廃用症候群リハビリテーション
外科手術又は肺炎等の治療時の安静により、筋力低下などの身体機能低下が生じている方の中で、一定程度以上の日常生活活動の低下をきたした方が対象となります。
〇 運動器リハビリテーション
骨折、腱・筋損傷、脊椎疾患、変形性関節症の手術後、四肢の切断などの方が対象となります。
〇 心大血管疾患リハビリテーション
急性心不全、慢性心不全の悪化、心筋梗塞、心臓外科手術後、閉塞性動脈硬化症などの方が対象となります。
退院後も、再発予防や心機能に合わせた運動を提供するため、外来リハビリテーションも実施しています。
〇 呼吸器リハビリテーション
肺炎などの急性呼吸不全、慢性閉塞性肺疾患などの慢性呼吸不全の方が対象となります。
〇 がん患者リハビリテーション
がんの手術前後や、進行がんで一時的に体調不良で入院を余儀なくされた方が対象となります。
リハビリテーション室の紹介
検 査
〇 嚥下造影検査
X線透視下で、バリウム(造影剤)の入った模擬食品を実際に口から食べていただき、口から食べる機能に異常がないかを調べる検査です。
〇 嚥下内視鏡検査
鼻咽腔内視鏡を用いて飲みこみの観察を行う検査です。ベッドサイドでも施行が可能で、唾液の誤嚥、咽頭残留などの確認が可能です。
ニューロリハビリテーションの取り組み
近年の脳科学の進歩により、脳卒中などで脳の神経細胞が破壊されても、損傷を免れ生き残った神経細胞が役割を代行する能力(脳の可塑性)があることが明らかになりました。この性質を生かすことで、従来は後遺症とされていた慢性期の片麻痺も、改善する可能性があることが分かっています。ニューロリハビリテーションとは、このような、ニューロサイエンスとその関連の研究によって明らかになった脳の理論等の知見を、リハビリテーション医療に応用した治療法などのことであり、最近注目されている分野で、当院でも積極的に取り入れています。
<CI療法>
CI療法とは、Constraint Induced Movement Therapyの略で、脳卒中による上肢麻痺に対する治療方法です。麻痺していない上肢の使用をスリング等で制限し、麻痺側の上肢のみで、個々の上肢機能にあった訓練課題を少しずつ難易度調整しながら行っていきます。1日あたり5時間程の訓練を10日間集中して行います。本邦の脳卒中治療ガイドラインでも麻痺側上肢の機能改善が期待できる治療法として強く推奨されています。
<促通反復療法>
2011年にテレビ(NHKスペシャル)で紹介され「川平法」という名前でも知られています。治療者が、麻痺した手足に対して、動かしたい部分に刺激を与えて運動を助けることで、意図した運動を実現し、同様の動きを反復して行うことで、随意運動に必要な大脳から手足につながる神経回路を再建・強化する治療方法です。
臨床研究
患者さんへの説明・患者さん向け資料
脳卒中急性期の上肢麻痺に対して集中的反復練習を行った患者さんの診療情報を用いた臨床研究に対するご協力のお願い(令和元年7月5日承認)
日本心血管理学療法学会レジストリー研究「慢性心不全患者のフレイル実態調査」に対するご協力のお願い(令和元年7月5日承認)