最近の国民健康栄養調査の結果では、糖尿病が強く疑われる人と糖尿病を否定できない人の数は約2200万人といわれ、国民の6人に1人は糖尿病かその予備群といわれています。糖尿病センターでは、このような糖尿病やその予備群の患者さんを対象に、専門的な診断と治療を行っています。
糖尿病はほとんど症状がないままに、神経(糖尿病神経障害)、目(糖尿病網膜症)、腎臓(糖尿病腎症)などの糖尿病に特異的な合併症を引き起こすとともに、心筋梗塞や脳梗塞、足病変など深刻な病気の危険を高めます。また高齢者の糖尿病患者さんの増加に伴い、認知症やサルコペニア(筋肉減少症)なども糖尿病と深く関連していることが注目されています。従って糖尿病センターでは、眼科、形成外科、脳神経内科、循環器内科、腎臓内科、リハビリテーション科、心臓血管外科、歯科口腔外科、もの忘れ外来など多くの診療科と連携をとりながら、包括的に診療に取り組んでいます。
糖尿病とうまくつきあって行くためには、年齢や糖尿病の罹病期間、ライフスタイル、低血糖の危険性などを考慮して、一人ひとりの患者さんにあった無理のない治療目標の設定が非常に重要です。そのため、糖尿病センターでは看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師や地域医療連携室と「糖尿病サポートチーム」を構成し、チームで診療にあたっています。また、「糖尿病療養指導士」という糖尿病療養指導の専門的な経験と技能を備えた多職種が、それぞれの専門性を活かして食事・運動・薬物療法などの療養指導を行い、チームで糖尿病患者さんを支える体制を作っています。
糖尿病を初めて診断された場合や治療中に糖尿病が悪化してきた場合には、「糖尿病やその療養方法について学びながら、糖尿病の治療を行う専門入院(糖尿病学習入院)」を予約制で行っています。また血糖変動が大きく安定しないような患者さんには、持続血糖測定システム(CGM)を用いた24時間連続血糖測定や持続インスリン注入装置を用いた治療(CSII:インスリンポンプ療法)などの専門的な検査や治療も適宜行っています。
最後に、糖尿病療養中の患者さんが互いに交流を深め、よりよい糖尿病の療養につなげていくことを目指した糖尿病患者友の会「いきいき友の会」が小野市民病院から引き継がれて活動されています。糖尿病教室などの定例の糖尿病の勉強会や糖尿病ウオークラリー、世界糖尿病デーなど様々な行事を通して、引き続き積極的にサポートしていきたいと考えています。
糖尿病・内分泌内科、総合内科、老年内科、循環器内科、脳神経内科、腎臓内科、リハビリテーション科、眼科、形成外科、皮膚科、心臓血管外科、歯科口腔外科、もの忘れ外来 等