低侵襲手術には、腹腔鏡手術、胸腔鏡手術、ロボット支援手術などの種類があります。当院では、様々な病気に対して、これらの最適な低侵襲手術治療を受けることが可能となっています。低侵襲手術では、術後疼痛軽減、術後合併症低減により身体への負担を減らし、入院期間短縮、早期社会復帰が可能となります。もちろん、より進行した病気では従来からの開腹手術や開胸手術が不可欠な場合もありますが、その割合は年々減少しています。
その一方で日本では高齢化社会は進み、2017年度のNCD:National Clinical Database(日本全国からの外科手術・治療情報データベース)からの報告では、75歳以上の後期高齢者の割合が、食道切除術(22.1%)、幽門側胃切除術(40.6%)、胃全摘術(39.3%)、結腸右半切除術(50.1%)、直腸低位前方切除術(26.7%)と高齢者手術の割合が非常に高くなっています。このような高齢者に対しても低侵襲手術治療は有用で、早期回復と入院期間の短縮、在院死亡率の低下など様々なリスクを和らげて健康寿命を伸ばすことができるようになってきました。
このような低侵襲手術が発展・導入されても、急に人間が強くなるわけではありません。皆様の病状や併存疾患、家庭環境、社会背景を踏まえて、適切に先進的な低侵襲手術治療を安全に提供し、地域医療に貢献できることを願っております。
低侵襲手術部門は、当院消化器外科領域での腹腔鏡手術、胸腔鏡手術、ロボット支援手術といった低侵襲手術をさらに発展、強化していくことを目的に設立されています。先端医療センター 低侵襲手術部門は、外科・消化器外科と一体となり、診療・手術を行っていますので、外科・消化器外科の診療内容も併せてご覧ください。
神戸大学での消化器外科領域でのロボット支援手術の導入、ロボット支援下食道切除術の保険診療での実施実績、手術手技定型化、日本内視鏡外科学会ロボット支援手術プロクター(手術指導医)取得の経験を生かして、北播磨総合医療センターにて2021年4月から食道癌に対する「ロボット支援下食道切除術」の保険診療での施行が可能となっています。
食道癌手術は従来、負担の大きな手術といわれてきましたが、「ロボット支援下食道切除術」では、その精緻な動作により術後肺炎や反回神経麻痺(声の嗄れ、嚥下障害)などの術後合併症を低減させることが期待されています。
氏名 | 補職名 | 卒年 | 資格等 |
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中村 哲 (なかむら てつ) |
外科診療部長兼外科、消化器外科、乳腺外科部長兼 先端医療センター長(低侵襲手術部門)兼がん総合診療センター長兼患者総合サポートセンター長兼診療科長兼消化器センター長 |
1994 |
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御井 保彦 (みい やすひこ) |
主任医長 | 2005 |
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